OTSショットとは
Over The Shoulder の略で、その名の通り「肩越しに撮る」ショット。手前にAさんの肩・後頭部の一部を入れ、その向こうに会話相手のBさんを置きます。観客は「Aさんの隣に立って会話を聞いている」立ち位置になり、臨場感が生まれます。
ドラマ、インタビュー、対談、面接、商談——2人が向き合って話す場面で広く使われます。
OTSの基本設計
カメラ位置の3要素
- 角度: 2人を結ぶ線(イマジナリーライン)から30〜45度オフセット。
- 距離: 手前の人物の肩から1.0〜2.0m。被写体(向かいの人物)までは2.5〜4.0m。
- 高さ: 基本は被写体の目線。やや低めで「観客が見上げる」演出も。
肩のサイズ感
OTSで最も印象を左右するのが、画面に入れる手前の肩の大きさです。
- 肩が大きく入る(画面の1/3〜1/2): 圧迫感、対峙感。詰問・対決シーンに。
- 肩が小さく入る(画面の1/5程度): 軽やかさ、観察者目線。インタビュー・カジュアル会話に。
レンズ選び
OTSは中望遠が基本。35mm判換算で50〜85mmが扱いやすい範囲です。
- 50mm: 肩と被写体の距離感が自然。万能。
- 85mm: 被写体が浮き上がる圧縮効果。ドラマチック。
- 35mm以下: 広角は肩が大きく歪み、空間が間延びする。OTSには不向き。
180度ルールを守る
OTSはほぼ必ず「切り返し(リバースショット)」とセットで使います。AさんOTS → BさんOTS と切り替えるとき、2台のカメラは必ずイマジナリーラインの同じ側に置かなければなりません。
ラインを越えると、編集で繋いだ瞬間に2人の視線が同じ方向を向いてしまい、「会話していない」絵になります。詳しくはインタビュー撮影の2カメ配置のコツで解説しています。
ピント面の決め方
OTSは「手前の肩はボケる、奥の被写体はピント」が基本です。
- 絞りは F2.8〜F4 程度。肩がボケすぎると「何が映ってるか分からない」、シャープすぎると「肩が主役」に見える。
- ピントは被写体の手前の目。両目ではなくカメラ側の目を狙う。
- 会話中に被写体が動くなら、瞳AFまたはフォーカスマンを用意する。
OTSは切り返しが前提。AB両カメの位置を片方ずつ詰めると永遠に終わりません。Shot Planner で2台同時に配置して、両方のフレームを同時にプレビューすると、180度ルールも肩のサイズ感も一画面で確認できます。
よくある失敗
失敗1: 肩が大きすぎて主役が霞む
「臨場感を出したい」と肩を入れすぎると、手前の人物の存在感が強くなりすぎます。被写体の表情を撮るためのショットであることを忘れない。
失敗2: 肩が画面の端に追いやられる
逆に肩を遠慮しすぎると、OTSではなく普通のミディアムショットになります。肩が画面端の「フチ」程度では効果がない。最低でも画面の1/5は肩で埋める。
失敗3: 切り返しでサイズが合わない
AさんOTSとBさんOTSで肩のサイズ・被写体の頭の位置・画面内の左右の配分が揃っていないと、編集で繋いだとき違和感が出ます。「鏡写しの対称」を意識する。
失敗4: 肩のシルエットに小道具が刺さる
肩のラインから観葉植物・スタンドマイク・別の人物の頭が「生えて」見える事故。手前のシルエットをチェックする習慣を。
OTSの応用
ダーティOTS / クリーンOTS
手前の肩を「入れる」のがダーティOTS、ほぼ抜くのがクリーンOTS。ダーティで2人の関係性を見せ、クリーンで被写体の感情を抜く、という使い分けが定番です。
3人以上のOTS
3人会議なら、手前2人の肩越しに奥1人を撮る「ダブルOTS」も使えます。三角形を維持しつつ、誰がメインかをカメラ角度で示せます。
チェックリスト
- 2人を結ぶラインに対してカメラは30〜45度オフセットされているか
- 手前の肩は画面の1/5〜1/2に収まっているか
- 切り返しのカメラはイマジナリーラインの同じ側にあるか
- AB両OTSで肩のサイズ・被写体の位置がほぼ対称になっているか
- 肩のシルエットに余計な小道具が刺さっていないか
- ピントは被写体のカメラ側の目に合っているか