3灯ライティングの基本構成
物撮りの基本は キーライト・フィルライト・バックライト(リムライト) の3灯構成です。被写体に応じて減灯はあっても、考え方の基準として覚えておくと判断が早くなります。
- キー(主光源): 被写体の上側 45度・斜め前から。形状を浮かび上がらせる主役。
- フィル(補助光): キーの反対側からキーより 1〜2段弱く。影を残しつつ潰さない。
- バック(リム): 被写体の後方上から。輪郭を背景から分離する。
被写体別: ライティングのアレンジ
マット素材(衣類・紙製品・木製品)
柔らかいディフューズ光が基本。大きめのソフトボックスをキーに使い、フィルはレフ板で十分です。
- キー: 60×90cm 以上のソフトボックス、被写体から 60〜80cm。
- フィル: 反対側に白レフを 40〜50cm の距離で立てる。
光沢素材(金属・陶器・革)
反射そのものをデザインするライティングが必要です。「光源そのものの形が被写体に映り込む」と理解しておきましょう。
- 大型のディフューズパネル(バタフライシルク等)を被写体の真上から被せる。
- 左右に黒ケント紙を立て、エッジに「黒い線」を作って立体感を出す(ネガティブフィル)。
透過素材(ガラス・ボトル・液体)
背後から光を当てる「ライトテーブル」方式が基本。被写体の輪郭を黒く出すには、背景白パネルに光を当て、被写体には直接光が当たらないようにします。
- 背景: 半透明アクリル板の後ろに照明を置き、内側から発光させる。
- 被写体: 直接光は当てない。左右の黒ケントで輪郭を引き締める。
光沢素材の物撮りは、光源の角度・大きさ・距離が映り込みの形を変えます。Shot Planner なら被写体・光源・カメラを3D配置して、TOP/SIDEから角度関係を視覚的に確認できます。アシスタントへの指示書としても使えます。
背景の分離: バックライトの効かせ方
背景と被写体の色が近い時、輪郭が溶けて見えます。バックライトを 1灯入れるだけで「立体感」が一気に出ます。
- 被写体の真後ろ・上から 60度の角度で当てるとリムライト効果。
- 背景紙そのものに光を当てる場合は、被写体から 1.5m 以上離した方が階調が綺麗に出る。
機材が少ない時の優先順位
ライト1灯しかない、という現場でも、以下の順で工夫すれば品質は確保できます。
- 1灯 + 大きめソフトボックスでキーを作る
- 反対側に白レフを立てる(フィル代わり)
- 背景に距離を取って分離する(背景までの距離 = 簡易バックライト)
- カメラ位置を 主光源と直交する方向 から構える
ここまでで「商業利用に耐える物撮り」のラインに乗ります。あとは被写体の形に合わせて角度を詰めるだけです。
本番前に配置を固める
物撮りは1テイクの調整が長く、ライトの位置を 5cm ずらすだけで仕上がりが変わります。配置を当日に決めると、何時間あっても足りません。Shot Planner で被写体・カメラ・3灯の関係を事前に組んでおき、現場では「再現と微調整」だけにすれば、撮影スピードと再現性が両立します。